なぜ、有機農業に取り組む?

この協議会は、「NPO 法人日本有機農業研究会」が示された「有機農業に関する基礎基準 2000 年」(2000 年2月採択、2006 年 2 月一部改正)による有機農業運動の目標や、「有機農業の推進に関する法律」第三条にある基本理念が重要だと考えることから、山口市における有機農業に取り組むこととしています。

「NPO 法人日本有機農業研究会」は、有機農業の探究、実践、普及啓発、交流等を目的に生産者と消費者、研究者を中心として、1971 年に結成されました。この会の目的は、規約第四条に規定され「環境破壊を伴わず地力を維持培養しつつ、健康的で味の良い食物を生産する方法を探究し、その確立に資するとともに、食生活をはじめとする生活全般の改善を図り、地球上の生物が永続的に共生できる環境を保全すること」を掲げています。有機農業への会員の想いはそれぞれだそうですが、概ねの共通項としての「有機農業のめざすもの」を、「有機農業に関する基礎基準 2000 年」の中で、次の 10 項目を掲げています。

1・安全で質のよい食べ物の生産
安全で質のよい食べ物を量的にも十分に生産し、食生活を健全なものにする。

2・環境を守る
農業による環境汚染・環境破壊を最小限にとどめ、微生物・土壌生物相・動植物を含む生態系を健全にする。

3・自然との共生
地域の再生可能な資源やエネルギ-を活かし、自然のもつ生産力を活用する。

4・地域自給と循環
食料の自給を基礎に据え、再生可能な資源・エネルギ-の地域自給と循環を促し、地域の自立を図る。

5・地力の維持培養
生きた土をつくり、土壌の肥沃度を維持培養させる。

6・生物の多様性を守る
栽培品種、飼養品種、及び野性種の多様性を維持保全し、多様な生物と共に生きる。

7・健全な飼養環境の保障
家畜家禽類の飼育では、生来の行動本能を尊重し、健全な飼い方をする。

8・人権と公正な労働の保障
安全で健康的な労働環境を保障し、自立した公正な労働及び十分な報酬と満足感が得られるようにする。

9・生産者と消費者の提携
生産者と消費者が友好的で顔のみえる関係を築き、相互の理解と信頼に基づいて共に有機農業を進める。

10・農の価値を広め、生命尊重の社会を築く
農業・農村が有する社会的・文化的・教育的・生態学的な意義を評価し、生命尊重の社会を築く。

【「NPO 法人日本有機農業研究会」のホームページより引用しています】

また 2006 年に制定された「有機農業の推進に関する法律」では、有機農業の推進の基本理念として、次の4項目が示されています(法第三条)。

1 有機農業の推進は、農業の持続的な発展及び環境と調和のとれた農業生産の確保が重要であり、有機農業が農業の自然循環機能(農業生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。)を大きく増進し、かつ、農業生産に由来する環境への負荷を低減するものであることにかんがみ、農業者が容易にこれに従事することができるようにすることを旨として、行われなければならない。

2 有機農業の推進は、消費者の食料に対する需要が高度化し、かつ、多様化する中で、消費者の安全かつ良質な農産物に対する需要が増大していることを踏まえ、有機農業がこのような需要に対応した農産物の供給に資するものであることにかんがみ、農業者その他の関係者が積極的に有機農業により生産される農産物の生産、流通又は販売に取り組むことができるようにするとともに、消費者が容易に有機農業により生産される農産物を入手できるようにすることを旨として、行われなければならない。

3 有機農業の推進は、消費者の有機農業及び有機農業により生産される農産物に対する理解の増進が重要であることにかんがみ、有機農業を行う農業者(以下「有機農業者」という。)その他の関係者と消費者との連携の促進を図りながら行われなければならない。

4 有機農業の推進は、農業者その他の関係者の自主性を尊重しつつ、行われなければならない。

【当協議会委員:東孝次】